翻訳は起点言語のテキスト(原文)を目標言語のテキスト(訳文)への加工過程です。単に技術的な観点から見ると、日本・ポーランド語の翻訳・通訳と他言語の翻訳・通訳には大差がありません。
翻訳と通訳
翻訳技術の一番基本的な違いは翻訳・通訳の対立にあります(技術によって原文・訳文は口頭または書面の形式で扱われます)。 依頼主の観点から見てこの違いは翻訳頁料金または通訳時間料金の単位で見られるものです。その表面的な格差より翻訳・通訳実践上の違いの方が大事だと思われます。
翻訳
原則として通訳より翻訳の方が文書をゆっくりと読み、その課題についてよく調べながら、語彙などを用意し、必要によって原文の著者または直接依頼主と相談し疑問のある箇所について説明してもらうなど時間的に余裕があります。このようなことは大至急の注文の場合でも不可能ではありません。翻訳と違い、通訳は時間に余裕がありません。
翻訳はほとんどの場合、編集完了・権限付与済みの文書を対象に行われます(あいにく編集中の文書が訳され、訳される途中で編集されるなどのこともなくはないのが現状です。このような状況は翻訳者にとって非常に困難ですが、理論上では不可能なことではないし、実践上でも起こりえなくはありません)。又、完璧に依頼主の注文に用意してきた通訳でも、全く意外な状況に遭うことがあります。 偶然として入ったレストランの変わったメニューをその場で訳されることはその例の一つであります。通訳としての中心活動と思われる場面と可能でありながら通訳本業から離れた場面との区別は容易ではないからです。
しかし、だからといって翻訳の方がやりやすいとは一概には言えません。時間や文脈に関わる情報不足により完璧な翻訳文ができない、事前翻訳・最終翻訳の期間が非常に短くなってしまうなどのことがあります。翻訳者は連続的に翻訳完了時簡短縮へのプレッシャーにさらされているため、依頼主に大至急の翻訳と完成度の高い翻訳との質の違いを論じられない場合がほとんどです。
通訳
会議通訳と呼ばれる通訳は同時通訳と逐次通訳に分けられます。同時通訳の場合の訳文は原文と同時に生成されています(遅延は数秒に過ぎない状態です)。逐次通訳では、訳文の一部は原文の一部が逐次生成された後に生成されます。 逐次通訳の通訳は同時通訳より原文に一番ふさわしいと思われる訳文のバージョンの生成時間が与えられます。
依頼主から見て通訳は随時同時通訳を行えるのが理想に近い状態と思われますが、実際は同時通訳と逐次通訳の選択は依頼主の好みだけでなく通訳場面にもよります。前者はよくビジネスパートナーの直接通話の際に行われる一方、交渉や挨拶のスピーチの場合は、コミュニケーション参加者同士の発言内容は次々と訳される逐次通訳の方が効果的と思われます。このような選択パターンは自然と思われるどころか、逐次通訳より同時通訳の方が効果があるなど言い切れないのが現状です。
ところで、逐次通訳と違い、同時通訳の方が通訳の負担が大きく、集中力が求められるため、頻度の高い又は長時間の休憩は避けられません(必要に応じ、二人の同時通訳が交代で通訳を行うのが望ましい)が、反面、同時通訳も逐次通訳も直訳とは違う。通訳のパフォーマンスの質は訳文により原文の内容をどのぐらい表現できるかによって評価されます。
会議通訳
会議通訳は技術措置(キャビン、ヘッドホン、マイクなど)を使用し、通訳と発言者との接触なしで行うことが可能です。
随行通訳
通訳の一種として外国旅行中の観光客やビジネスマンなどに随行する随行通訳もあります。随行通訳の場合は完璧な外国語コミュニケーション能力が必須条件と思われるより、依頼主が知らない異国で自由に行動できるように努めることが大切である場合が少なくありません。また随行通訳の個人態度が依頼主にとって助けとなります。正確な通訳より効果的なコミュニケーションが大事にされるのです。言うまでもなく、プロの通訳も随行通訳の役割を果たすこともあります。長期間通訳の対策としては必ずしもプロの訓練を受けていないスタッフを雇うことが可能です。
翻訳・通訳活動への準備
以上の内容に加えて述べることは、翻訳・通訳に関わらず、常識上の習慣として翻訳者・通訳には事前に会い、仕事の内容について事前に情報を提供していただく必要があります。 翻訳者・通訳からの詳しい質問は、効果的な仕事を行う為になされることなので、依頼主は質問に対して説明をするべきです。 理想的な場面は、翻訳・通訳対象の分野からの特定用語知識に伴うのは、依頼主に特有な情報、ビジネス手続きに関わる情報、依頼主の意図・計画の情報などであるほか、依頼主のビジネスパートナーのプロジェクトに参与する個人・管理者の名前・身分についての知識です。ビジネスパートナーとの連絡の段取り、書面での資料、商業文などの内容に関わる知識も欠かせないものです。依頼主が取引先の詳細を翻訳者・通訳に隠すこともありますが、それでは翻訳・通訳業務がやりにくくなってしまいます。場合によっては取引先の社名・活動分野への関係データだけで翻訳・通訳が支障なく進むことがあります。この場合、インターネットを使って直接取引先のホームページを検索し必要な情報を手に入れられるどころか、翻訳者・通訳のパフォーマンスを強化する効果につながるのです。注文に関わる情報に基づき弊社での翻訳者・通訳の選定が影響されます。
注文内容に関わる情報をいただけない場合...
翻訳者・通訳は仕事の環境の詳細が分からなければ、誤解が生じます。誤解といえば、笑いがでるぐらいの例がたくさんありますが、それに関わらず読み手・聞き手の内容理解が難しくなり、翻訳者・通訳の努力結果が無効になる場合もあります。例を一つ挙げますと、掛け算表(英語は'multiplication tables')を家具の一種としてみなす人はあまりいないと思われますが、文脈が明らかでない場合は翻訳者・通訳が迷うことがあるに違いありません。確かにハイテック技術文章を訳せない低レベルの翻訳者・通訳もいるでしょうが、原文には追加情報なしの語意表しかなければ、著者意図に当てはまる意味が不明となってしまいます。場合によっては、ささいな情報のひとつも大事とされます。